解離症は現在の診断基準では、解離性健忘を中心としていますが、その他にも様々な症状がみられる場合があります。これらの症状を詳しく把握することで解離症らしさが見えてきます。
現実感の喪失
これは離人症のような症状です。離人症との区別ははっきりはありませんが、「自分がここにいる」という現実感が薄い、自分自身が世界と繋がっていないような感覚などのように知覚されることが多いです。
夢うつつ体験
夢と現実の区別が不明瞭で、とてもリアルな夢を見ることが多いです。色がついている場合がほとんどです。夢で起こったことが現実で起こっているような感覚が起こります。
対人感覚過敏症
誰もいない場所で、人がいる気配がします。これは、人がいるという確信があるわけではないのですが、いるような感じがすると表現する方が多いです。時に霊を知覚しているという方もいらっしゃいます。ドッペルゲンガーの存在を信じている方もいます。また、人が理由もなく怖いという形の方もおられます。社交不安症などの方は、「笑われているんじゃないか」「頭が悪いと思われているんじゃないか」などのようにある程度、理由がしっかりしている場合が多いのですが、対人感覚過敏症の場合は、理由が不明確であり、漠然とした不安があります。
鏡恐怖
鏡に映る自分に違和感を感じる、なにか自分ではない感じがする、漠然と何かが怖いと感じると言った症状です。これは、醜形恐怖症のように自分の顔が醜いから見たくないということとは違い、理由が分からないけれど嫌な感じがするというものです。
解離性幻聴/幻視
解離症の方も幻聴/幻視が生じます。統合失調症では幻聴が多いことに対して、解離症の方は幻視が多いと言われます。
幻聴としては、「死ね」「お前はいらない」などのように被害的な形の内容が多いのですが、イマジナリーコンパニオンとの会話や他の人格との会話を周囲が幻聴と捉えている場合もあります。
時に幻視は物心がついたころから見えていて、周囲の人が見えていないことに気が付かない場合があります。自分には霊が見えると思っている方もいます。また、血や髪の毛などの場合も多いです。
身体感覚異常
身体感覚の異常として、体の大きさが変わるような気がする、何か力が抜けていくような感覚がするなどのものがあります。何か体の表面をはうような感じがするなどの体感幻覚を生じることもあります。
デジャブ(既視感)
デジャブとは、経験したことがないはずのことを経験したことがあるかのように近くすることです。このデジャブは健常な方でも幼少期には起こることが多いのですが、解離症の方は思春期以降も起こり続けることが多いです。
霊的な体験
霊的な体験で最も多いのが「憑依」です。現在、DSM-5においては憑依体験であっても、解離性健忘が生じれば解離症になります。この憑依体験は、霊的な存在に取り憑かれるという方もいれば、体・記憶を乗っ取られるという方もいらっしゃいます。
原因不明の体調不良
解離症の方は、身体的な不調に悩まされることが多いのです。そして、色々な病院にいきますが、医学的な所見が出ないこともよくみられます。また、この他にも失声・失歩・失書などの転換症を合併することもよくあります。