親からの虐待は、身体的暴力、性的虐待もありますが、言葉の暴力の場合もあります。
例えば、「あなたなんて産まなければよかった」「なんで、あんたは父親に似たの」「子育てには失敗した。お前は失敗作だ」等色々とあります。
どんなに小さな時に言われた言葉でも、多くの人はその言葉を憶えているものです。
あまりにつらい記憶のために封印していることも多いと感じます。
EMDRの治療中に思い出すこともあります。
また、両親がDVをしていることを目撃するDV暴露もトラウマになります。
最近は、DVも父親だけでなく、母親のDVも増えてきています。
女性のDVで、暴力はでないと考えられるかもしれませんが、実際には殴ったりと手が出るケースもあります。
家族・家庭というのは、子どもがこの世に生を受けた際に、最初に安全であるべき場所です。
この場所で安全を確保できなければ、後の人生に悪影響を及ぼすことは容易に想像できます。
「子どものときに、親を嫌いになれたら、どれだけいいだろう」と思ったことがあります。
このような虐待、DV暴露を経験し、その後の人生に苦しむ方の一部は、
子どものときに、親を嫌いになりきれなかった方たちです。
このような方たちは、端的に言えば優しすぎます。
「優しすぎて、親を嫌いになれない、憎めないのです。」
このような方は、EMDR中ですらもに、なかなか親に対する怒りが出てきません。
少し怒りが出てきても、「親も人間だし」「怒ることはよくない」「親にも事情があった」
という言葉が心の片隅にあるかのようです。
このようなタイプの方は、日常生活でも本当に優しい方が多いと感じます。
とても献身的で、他人の痛みをよく感じられる方々です。
虐待やDV暴露を治療していく中で、この方たちは親と決別していくことが必要になる方もいます。
親は自分を産んでもらったありがたい存在だけれど、その言動には賛成できない。
そういう風に心から思えることがゴールになる方もいます。