アダルトチルドレンとは、かつては両親にアルコール依存症を持つ家庭で育った子どもに言われてる状態像でした。親がアルコール依存症であると、大人になっても子どもの心のままであるというのがアダルトチルドレンという言葉の由来です。
最近は親がアルコール依存症でなくてもアダルトチルドレンであるというように概念が広がっています。そして、これは精神医学の言葉ではないので、実態としては、虐待を受けた方、PTSDを持ってある方、解離性障害が主にある方など、実態は様々です。
アダルトチルドレンに共通するのは、低い自己評価、自分は大切にされないという感覚、無力感などです。これらが、親元を去っても続いてしまうことがアダルトチルドレンの苦しみです。
このような方々への治療としては、フラッシュバックがあればEMDRを中心にしていきます。フラッシュバックがない場合は、自我状態療法やホログラフィートークが有効になってきます。
その中でも、ホログラフィートークが最もよく、治療がうまくいくような気がします。自我状態療法も結局は、ホログラフィートークの中で起こっていることと同じ流れになるようにも感じます。
ホログラフィートークの中で起こっていることをよく考えてみると
①過去の自分に共感する
案外、皆さんは過去の自分をいたわるという事はできていないのです。辛い経験をした当時、自分のことをかばってくれる人や、「辛かったね」と言ってくれる人は誰もいなかったのですね。そして、小さいころの自分は「辛かったね」と言われることを待っているかのようでもあります。過去の自分に共感し、いたわるだけでかなりの部分、心の重荷がとれます
②責任から解放
小さいころの自分は、親に怒られることで、「自分が悪い」「自分が悪いことをした」ということを植えつけられてしまっているのです。それを、紐解いていき、責任から解放していくことがとても大切なことです。『あなたは、悪くないよ。それを言う、親のほうが悪いよね』、『あなたは、確かにいたずらをしたかもしれないけれど、それに対して怒鳴ったり・殴ったりすることはいけないことですよね』という言葉かけをして、責任から解放していきます。この課程がうまく行けば、今の生活の中で自分が悪いと無意識に思ってしまう自己否定感が和らいできます。
③できなかったことの再現
小さいころの自分は、トラウマ体験によってできなかったことが幾つかあるのです。そして、その要求を満たしてあげることで、小さいころの自分の苦しみは開放されます。この過程で、自分は実は大切にされているという感覚を受信できるようになります。過去のことが整理されていないと、周囲から大切にされていても、なかなかそれを受け取れないということが良くあります。
うつ病が長く治らない方も、よくみればこのような状態の方がいらっしゃいます。なかなか、病気が良くならない方は、試してみると良いかもしれません。