これは、家族がよくしてしまいがちな対応です。
例えば、「家から帰ってきた時に来ていた服を洗濯しなければ、汚い」と感じているひとに対して、
『例え、菌がついていたとしても、その服についた菌が手につき、体に入る確率はとても低い』と可能性について言及し、理論的に心配しなくてもよいことを伝える方がいます。
強迫性障害の方は、自分なりの理屈を持っている場合が多いですし、汚染に関しては、独特の感覚を持っていることが多いのです。
参考:強迫性障害の方は、「汚いの感じ方」が違う。
参考:強迫性障害の方が持っている感覚:汚れが広がる・伝染する
そのため、このような理論とは合わないのです。
かろうじて、頭では分かるけど、汚い感覚は消えないという感じになります。
失敗すれば、洗浄強迫の人がよくしてしまう。「◯◯は綺麗か?」という巻き込み強迫に発展してしまうこともあります。
そのため、理屈で説得しないようにします。
これは、確認強迫でも同じです。
確認強迫の場合も、火事になる確率は低いということや、事故に遭う確率を引き合いに出しても失敗します。
また、クレジットカード等を落としても、悪用される前に、止めれば大丈夫だよという説明も失敗します。
また、確認強迫の人が確認したにもかかわらず、不幸にも阻止したい災難が起こってしまえば、強迫性障害は治るのか?という疑問がありますね。
結果的に言えば、私の経験では治ったことがないです。
これは、その災難が1回限りである場合が多いためです。 ちなみに、ある程度複数回であっても治らないです。
架空の例ですが、ADHDを合併している人で落し物を確認してしまう人がいたとします。ADHDは、その症状により落し物をよくしてしまいます。
何度も確認をするのに、落し物をしてしまう…このような偶発的な暴露を経験しているにもかかわらず、このような状態の方は改善しないことが多いです。
一つは、暴露が反復的に起こっていないからだと考えられます。
もう一つの理由は、暴露になっていない(確認は、必ず想像エクスポージャーを伴う必要があります)ためだと考えられます。
参考:暴露しているはずなのによくならない理由:消極的な暴露と積極的な暴露