実際の強迫行為に使う時間は、長くないけれど、強迫観念に悩む時間が長い場合…

強迫症(強迫性障害)
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強迫行為の寛解の目安は、個人的には1日に30分以下ぐらいだと思います。
30分を切れば、1日の中での強迫行為による日常生活への支障はほぼないといえるでしょう。しかし、強迫行為に使う時間が短いのに、1日中、強迫観念に悩まされるような方がいます。

こういう場合、まず考えなければならないのは、「回避」です。

回避とは、不安が喚起される場面に直面するのを事前に防ぐ行為になります。
逆に、強迫行為は、不安に直面した後に、不安をかき消す行為になります。

回避が強い方は、外出をしない、行動に制限をかけている、手袋をする、必要な用事を他人を使って行わせる(例えば、玄関を掃除させる)などの行為をとることが多いです。

一見、回避を完全にすれば、強迫性障害は安定したかのように見えます。
なぜなら、不安に直面しないので、強迫行為をする必要性がないからです。

しかし、本人の中では、常に先を読んで行動したり、「汚染されないだろうか?」「不安に直面しないだろうか?」と色々なことに気を使っていることになります。

私はよく、「無菌に近い環境を作り出そう、そこで生活をしようとして、行動に様々な制限があり、なんの楽しみもない生活と、回避しているものに挑戦して、行動のはばを広げていく生活のどちらがいいですか?」と問いかけます。

確かに、無菌状態であったり、家から出なければ、不安の種はありません。しかし、その状態では生活ができないのです。

強迫行為に使う時間は、短いのに、強迫観念が苦しいという場合は、是非、「回避」について、考えてみてください。

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