局所性ジストニア

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ジストニアとは

ジストニアという病気をご存知ですか?

有名なミュージシャンが局所性ジストニアを発症して活動を休止するといったニュースも報道され、一度は病名を耳にしたことのある人もいるかもしれません。

ジストニアは、脳神経系に何らかの異常が生じることによって、体の筋肉の一部分が緊張し、勝手に動き出してしまう病気です。自分の意図とは違う部分の筋肉が動いたり、収縮や固まることを繰り返してしまうため、首がねじれたり、足がねじれて思うように動かせない、口を開けたまま閉じることができない、などの様々な症状が起こります。これらジストニア運動と呼ばれる症状によって、日常的に不自然な姿勢や動作を強いられることになるのがこの病気の特徴です。ジストニアによって知能が侵されたり命が脅かされることはなく、聴覚や視覚といった感覚機能へ影響が及ぶことはありませんが、筋肉を自分の思い通りに動かせないことで起きる肉体的な苦痛や精神的苦痛は大変なものです。場合によっては仕事や普段の日常生活に大きな影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。

 

 

ミュージシャンを襲う局所性ジストニア

ジストニアは大別して、下半身を含む多くの範囲に症状がみられる全身性ジストニアと、顔や手足など体の一部分に起こる局所性ジストニアとに分けられます。

局所性ジストニアは、ある特定の動きをしようとする時にだけ症状が現れ、その動きを困難にしてしまいます。字を書こうとする時にだけ手が震えたり脱力してしまう書痙や、物を食べる時に舌や喉が上手く動かせずに飲み込みにくい、喋りにくいというような症状がよく知られています。

職業性ジストニアとも呼ばれ、音楽家に多く見られる病気です。ピアノやギターを弾くための指や、管楽器を演奏するための唇、歌を歌うための喉の筋肉など、特定の繊細な動きを繰り返し、その部位の筋肉を反復的に酷使することによって、脳になんらかの変化が生じ、症状が起こると考えられています。筋肉を上手く動かせなくなる症状は特定の演奏のための運動をする時にだけ起こり、他の生活の動作の中で起こることはありません。しかし、不自然な震えや脱力によって演奏や歌唱ができなくなることで演奏家生命を脅かしてしまう病気であり、フォーカル・ジストニアとも呼ばれています。

また、職業性ジストニアは音楽家だけではなくスポーツ選手や職人、画家など、特定の姿勢や動きを継続するための筋肉を繰り返して酷使する職業の人に多く発症すると言われています。スポーツ選手がある時突然、普段通りのプレイができなくなるイップスと呼ばれる現象も、この職業性ジストニアと関連して起こっているケースが多くみられます。

 

 

ジストニアの治療法と現状

現在、ジストニアの治療には、薬物療法やボツリヌス毒素療法といった医学療法、リハビリテーションや鍼治療、外科的な手術などの療法が行われています。いずれも根本的な治療法は未だ確立されておらず、対症療法での治療ですが、専門医の元で個々の症状に合わせて治療の方針を組み立て、克服に取り組みます。

また、ジストニアは「感覚トリック」といって、手を触れたり頭を壁にもたせかけることによって症状を一時的に緩和することができる場合があります。催眠や睡眠によって寛ぐことで症状が消失し、反対にストレスや疲労によって悪化する傾向があることも分かってきています。そのため、日々のストレスケアやコントロールも治療に必要な要素であると言えます。

ジストニアは、その病態がさまざまであることから、原因の解明や治療法も研究途上の段階にあり、医療関係者への認知度も高くないのが現状です。

音楽家やスポーツ選手だけではなく、脳の疾患の後遺症として発症したり、向精神薬や抗パーキンソン病薬の服用による副作用でジストニア運動が見られることもあります。希少なケースではありますが、先天的に両親から受け継いだ遺伝子によって発症する遺伝性ジストニアもあり、こちらは厚生労働省が認定する難病として認められており、支援の対象になっています。

ジストニアは、一般的にあまり知られていないにも関わらず、多くの人がかかる可能性のある神経の病気です。疑いのある場合は、神経内科や脳神経外科、心療内科など、脳神経疾患を扱う科を受診します。確実に診断を受けるためにも、ジストニアの検査を受けることのできる病院の専門医に相談するのがよいでしょう。

 

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