応用行動分析の哲学

認知行動療法
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応用行動分析というのは、人間の心に焦点を当てるのではなく、行動に焦点をあて、その行動の機能を考えていくことで、問題行動を解決しようとしていく治療方法です。

行動分析学が、その理論体系であり、応用行動分析はその理論体系を支援という形で考えた時にどうするのか?という学問体系になります。

この応用行動分析の考え方は、非常に日常生活に役立つ考え方です。以下に紹介してみます。

 

心を変えるのではなく、行動を変えることで心を変える

どうしても、心は抽象的であり、よくわからないものです。そのため、心を変えようとすると、頑張るだとか我慢するなどのような抽象的な方法しか思いつかなくなります。

応用行動分析では、行動に焦点を当てて物事を考えていきます。例えば、自立心を持つという目標を立てると、それを行動に翻訳していきます。「毎日、9時には起きる」「毎日、家の掃除をする」などです。そして、この行動を作っていくように支援をしていきます。

このような行動を作り上げられれば、「自立心を持っている」という状態になりますね。このように、応用行動分析では、行動を作っていく、形から入るということを重視します。

 

問題行動を減らすのではなく、別の行動で置き換える

どうしても、問題行動だけを減らそうと人は考えてしまうものです。そのため、注意をしたり、怒ったりして、相手の行動をコントロールしようとしてしまいます。

しかし、応用行動分析では、その「問題行動をとらなかったら、どんな行動をとっているだろうか?」と考えていくのです。

例えば、「よく、書類で誤字脱字が多い」という状況を改善させたい場合、「誤字脱字をしない」という目標をたてるのではなく、「2回は、見直しをする」という目標を立てます。

子供の場合は、「いたずらをなくす」のではなく、「お手伝いをする」「外で、遊ぶ」などの目標を立てます。

このように、問題行動をなくすのではなく、「問題行動をとらなかったら、どのような行動を取るだろうか?」と考えていくのです。このような発想を、積極的行動支援とか、代価行動の分化強化と呼びます。

 

目標になる行動は、少しづつつくり上げる

応用行動分析の最も大切な支援の方法は、「増やしたい行動を誉める(メリットを与える)ことで増やす」ということになります。これを専門的には「強化」と呼びます。

例えば、子供が勉強をしない場合、子供が本を少しでも読んだり、机に座っただけでも、褒めます。最初は、家に帰ってきて、宿題を机の上に置くだけでも、誉めます。

多くの人は、「たったこれくらいで褒めても…」と思うような行動でも、誉めていきます。少しづつ、目標となる行動を形作るという発想を持っているからです。これをシェイピングと専門的には呼びます。

 

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