マインドフルネスの治療の実際

認知行動療法
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ここでは、私が普段やっているマインドフルネスを用いた治療の実際をまとめてみます。

私の場合は、個人セッションの場合と集団セッションの場合があります。

個人セッションの場合

個人セッションの場合は、基本的にはその人の主訴によってマインドフルネスの練習方法や強調する側面が変わってきます。例えば、不安障害・強迫性障害であれば、曝露反応妨害法やエクスポージャーの効果を高めるためにマインドフルネスを用います。

他にも突発的な不安・怒りが出てきた時に、それに気づき、普段の生活に戻る練習もマインドフルネスの一つの側面です。フラッシュバックが出てきた時に、マインドフルネスでどう対処するか?をレクチャーして、その後に、擬似的な体験をしてもらいます。例えば、不安の場合だと、不安を紙に書きだしてもらい、読んでもらうなどです。マインドフルネスは体験に基いて学んでいく必要があるからです。

また、個人セッションの場合は、行動連鎖分析が丁寧に行なえます。行動連鎖分析とは、それぞれの個人の考え、感情、行動等の連鎖を丁寧に把握していくことです。この行動連鎖分析を丁寧に振り返ること事態がマインドフルネスの観察の過程と重なっていきます。ご自分で行動連鎖分析ができるようになると、自然と症状がよくなります。

集団セッションの場合

個人セッションの場合は、行動連鎖分析が丁寧にできるメリットがあります。一方で、集団セッションの場合はマインドフルネス瞑想がしっかりとやれるというメリットがあります。集団セッションの場合は、2時間が1セットになる場合が多いです。

マインドフルネスの基本はヴィパッサナー瞑想にあります。瞑想といっても、座って目をとじるばかりではなく、映像をみて、自分の心に思ったことを観察する練習や、歩きながらの瞑想、干しブドウをゆっくりと食べる瞑想など様々な瞑想があります。自分にあった瞑想をしていく必要があります。

また、マインドフルネスは面接室という限られた空間だけでなく、日常生活の中で使えなければ意味がありません。例えば、対人関係の中、日常の嫌なことがあったときに、マインドフルネスを意識しながら対処していく事はとても大切です。

そのため、2時間のセッションのうち、1時間は、講義を行います。講義は、マインドフルネスの基礎から、感情についての理解、対人関係の中でのマインドフルネスやアサーティブ・コミュニケーションについて、ライフスタイルのあり方や、マインドフルネスだけでは切り抜けられない場合などの説明をします。これらは、弁証法的行動療法のエッセンスを圧縮させたものになります。

そして、残りの1時間にマインドフルネス瞑想のエクササイズと、日常生活の中での質問や、どう使えばよいかの質疑応答をします。マインドフルネスは非常に分かりにくいスキルです。このような質問を通して、日常生活の中でどのようにすることがマインドフルネスなのかを練習していく必要があるのです。

また、集団だと他の参加者の考え方・感じ方も知ることができます。マインドフルネスの練習の初期には、同じ場面でも感じ方が違うということに気がつくことが、自分のこころを観察していく際のヒントになることがあります。別の言い方をすれば、他の参加者の話を聞いているうちに、自分に対する気付きが生まれていくのです。

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