マインドフルネスの練習方法と治療にどう活かすか?

マインドフルネス
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マインドフルネスとは、自分の心の状態を常に観察するという状態でした。

マインドフルネスを体得していくには、サマタ瞑想とマインドフルネス瞑想を順に行う必要があります。

サマタ瞑想とは、何かに集中をして、その集中が途切れたら、またその集中しているものに帰ってくる瞑想のことをさします。
典型的には、呼吸について集中をします。息が鼻から入り、のどを抜け、肺に入り、そしてそれから体の外にでていくまでの体の感覚に注意を向けるのです。
途中で、「退屈だなぁ」「眠いなぁ」などと別のことを考えたら、また呼吸に注意を向けなおします。

この練習をとおして、自動的に感情に突き動かされている状態 自動操縦状態というのに気づいていきます。
同時に、体の感覚を観察し続けることで、日常的な体の変化に気づきやすくなります。
例えば、今日は体に力が入っているとか、今日は集中しづらくなっている等色々なことが見えてきます。

この練習は、なにも瞑想という形態をとらなくても良いのです。

例えば、歩いている時、電車をホームで待っている時、公園で休憩するなどの時間にやっても良いです。
通常は、15分以上、30分くらいが良いですが、5分程度でも大丈夫だと思います。
日常の至るところで行えば、それだけ、平常な心の状態が分かりようになるので、少し無理をしている等の感覚に気が付きやすくなります。

さて、サマタ瞑想は、注意がそれたら戻ってくる瞑想でした。そして、体の感覚に注意を向ける瞑想でもありました。

一方、マインドフルネスの中心であるヴィパッサナー瞑想では、体の感覚からの頼りで自分の心の状態も観察していきます。
思考や感情です。

この辺りは、諸説あります。古典的なヴィパッサナー瞑想では、思考は体の一部とみなすため、思考を観察するということはしません。

私は、思考も観察して良いと思います。ただ、思考をいきなり観察することは難しいので体の感覚を頼りに思考を観察します。

例えば、瞑想中に将来のことが浮かんで、体の感覚が変わったら、一体そこにあるのはどんな感情なのか? どんな思考なのかと観察していくのです。

さて、これを認知行動療法としてどう、使っていくかですが、一つはエクスポージャーの補助手段として使っていく方法があります。

参考:マインドフルネス と エクスポージャーは、表裏一体

マインドフルネスな状態とは、感情に突き動かされた行動を取らない
つまり、感情を感じ続け、感情を紛らわさない行動を取らないと言えます。
これは、そのまま暴露儀式妨害法です。

暴露儀式妨害法では、反応妨害をすることと、刺激に対して物理的に触れることを強調しています。

一方、マインドフルネスは、刺激に触れて感じること、観察以外の反応をしないことを強調しているのです。

これは、PTSD、摂食障害、うつ病、不安症、強迫性障害などの疾患には、何らかの形でマインドフルネスを応用したエクスポージャー(暴露儀式妨害法)を応用することができます。

一方、そのままでは上手くいかないのは、解離性障害です。解離性障害の方やPTSDに解離症状が出る方は、マインドフルネスを使うと、解離と区別がつかなかったり、フラッシュバックに対するマインドフルネスな状態が作り出せないような感じです。そう言われる専門家の方が何名かいますし、実際、そうです。

さて、マインドフルネスの最後の練習は生活にマインドフルネスを持ち込むことです。
瞑想という練習をしていても、日常の生活をマインドフルネスにしないと、あまり意味はありません。

うつ病の方は、日常の中で様々な心配や落ち込みが起こってもマインドフルネスな状態になることで少し気分が楽になります。

駄目な自分を責めずに、「自分のことを駄目だと責めている自分」を観察してみましょう。
時には、「◯◯すべき」という、自分の思考に対して判断していることに気づいていきましょう。
この判断に気付いたら、その判断をとめていくのです。

将来のことを心配し始めたら、今の生活でしていることに集中してみましょう。
今の感じている感覚に注意を向け直すのです。
あなたが心配していることは、『今』のことでしょうか?

気力がでない、体が動かない自分も観察してみましょう。
そういった自分を責めていることにも気づきましょう。
それは、一つの判断です。
体が動かない感覚に気付いていきましょう。その感覚・思考を穏やかに観察しましょう。
せめてはいけません。穏やかに好奇心をもって観察していくのです。

パニック障害の人も似ています。

パニック発作が出てきた時の体の感覚や、不安になっている自分に気付いて穏やかに観察していきましょう。
日常の中では、何かを早急に解決していかないといけないという、感覚にも気づいていきます。これは、パニック障害の肩に多いです。
不安に突き動かされた行動を取らず、不安はそこにあると認めていくのです。

強迫性障害の人も同じです。
強迫観念が浮かんでも、その強迫観念を観察してみましょう。その考えがうかんだ時の自分の心の状態に敏感になりましょう。
暴露儀式妨害法をしていない時でも、色々なものに気づいていきましょう。

不安障害・強迫性障害の人は、自分の不安に思うような対象にしか気づかない傾向があります。全てのことに気づいていくのです。

体の感覚や、自分の心の中に起こっている状態など全てです。

このようにマインドフルネスは、認知行動療法を補って行く方法です。
認知行動療法は、どのような行動を取るべきか?という行動の選択肢を提示します。
マインドフルネスは、行動の選択肢を取る状態になる状態を提供します。
このような関係であるとも言えます。

参考:認知行動療法としてのマインドフルネスを考える

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