強迫症とはなんなのか?

強迫症(強迫性障害)
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強迫症とは、強迫観念と強迫行為の悪循環によって維持されている病気です。もう少し、説明するのであれば、「強迫行為が止められない病気」になります。

強迫観念と強迫行為とは?

強迫観念と強迫行為は、人によって違います。例えば、強迫観念の具体例としては…

  • 汚れたのではないか? / ○○が汚れている
  • 汚れが取れてないんじゃないか?
  • 感染したんじゃないか?
  • 病気になるんじゃないか?
  • 鍵などが空いているんじゃないか?
  • ミスが起こるんじゃないか?
  • 火が消えてないんじゃないか
  • 人に攻撃したんじゃないか?
  • 納得がいかない
  • きちんとした手順ではない
  • バチが当たるんじゃないか?
  • 自分は同性愛者/性同一性障害なんじゃないか?
  • 自分は犯罪者なんじゃないか?
  • 自分は未知の病気にかかっているんじゃないか?
  • 自分は、ものごとをしっかりと理解してないんじゃないか?

などがあります。

強迫観念の特徴としては、以下のものがあります。

  • 不安・恐怖・もやもやなどの不快な感情を伴う
  • 「汚れているのではないか?」「○○をしたのではないか?」などの疑い・不信感などの場合もある
  • 心配の場合は、その心配が本当に起こりそうな気がする。例えば、「汚れているのではないか?」⇒「汚れている」という感じになる。
  • 無視できない。頭に浮かぶと、囚われてしまう。
  • 特定の場面で浮かぶ場合もあれば、ふっと頭に浮かぶこともある
  • 自分では、バカバカしいと思うこともある。「汚れているんじゃないかな?」⇒「汚れていてもいいとは思うんだけれど…でも、念のために手を洗おう」
  • 強迫行為をしないと不安が大きくなってしまう。強迫行為をしたくなる

また強迫行為としては、以下のようなものがよくあります。

  • 手洗い / 洗浄
  • 確認
  • 頭の中で打ち消す
  • 特定の行動をやりなおす
  • 反芻(頭の中でぐるぐる考える)

これらの強迫行為の特徴としては…

  • 強迫行為をしないと苦しい
  • 決められた手順で完璧に強迫行為をしないと、してないのと同じになる
  • 止めたくても止められない
  • 1回では満足できず、何回もしてしまう
  • ここまでの、強迫行為は必要ないと思うときもある

強迫症の診断基準としては、強迫観念と強迫行為のどちらかあれば強迫症の診断ができると書いてあります。しかし、これは正確に言えば間違いです。強迫症には必ず、強迫観念と強迫行為があります。ただ、強迫症のタイプによって、それが分かりづらいこともあるのです。

強迫行為のみに見えるタイプ

強迫行為のみに見えるタイプは整理整頓強迫と呼ばれるタイプです。このタイプの人たちは、服を着直す、ペットボトルや水筒の蓋を固く占める、文字を何度も書き直す、読み直す等の強迫行為をおこないます。

このタイプの人たちは、「怪我をさせたんじゃないかな?」と心配になるのではなく、「もやもやしない感じ」「納得がいかない感じ」が強迫観念になります。しかし、このもやもやした感じがなかなか言葉として表現しづらく、強迫行為のみを行っているように見えます。

強迫観念のみに見えるタイプ

強迫観念のみに見えるタイプとして想像型強迫症というタイプがあります。典型的には、「自分は人に危害を加えてしまったのではないか?」「自分は同性愛者なのではないか?」「自分は、未知の病気にかかっているのではないか?」などの強迫観念に囚われます。

このタイプの人は、頭の中で「本当は、どうなのだろう?」と考え続けることが強迫行為になります。頭の中で答えを探したり、自分を論破しようとしたりします。そのため、目に見える強迫行為をおこないづらく、強迫観念のみに見えてしまうのです。

発達障害との違いは?

発達障害との違いとしてよく出てくるのが、自閉スペクトラム症です。

自閉スペクトラム症のこだわりは、基本的にこだわりが達成できれば不快感は消えるという特徴があります。一方で強迫症は、こだわり通りにできても不快感が残ることが特徴です。

例えば、「文字を綺麗に書き直す」という行動の場合、1回でも綺麗にかければそれで終われるのが自閉スペクトラム症です。綺麗にかけても、もやもやして、書き直したくなるのが強迫症になります。

ただ、実際には自閉スペクトラム症と強迫症の両方を持っている場合も多いので、簡単に強迫症と自閉スペクトラム症を区別することはできません。

統合失調症との違いは?

強迫症の中には、強迫観念が妄想のような人がいます。例えば、「自分の顔が変わってしまうかもしれない」「なにもないけれど何かがついているかもしれない」「悪魔に取り憑かれてしまう」「自分はなぜか知らないけれど人を殺す力を持っている。人に触ったら、その人が死ぬ」などです。これらは、一見すると妄想のように思えます。

妄想との一番の違いは、本人がこの強迫観念を妄想だと認識していることです。妄想とは、その考えが100%正しいと思っている必要があります。そのため、自分自身で自分の考えは妄想だと言っている時点で、それは妄想ではありません。

また、統合失調症との違いとしては、統合失調症はこのような強迫観念にとりつかれた後に、強迫行為はしません。ただ、怖いという感覚だけがあります。一方で、強迫症の場合は、毎回、同じ強迫行為を行いたくなります。このように嫌な考えが出てきた後に、何をするかという点が違います。

ただ、実際は統合失調症の発症するまえに強迫行為が出てる場合もありますし、強迫症と統合失調症の両方を持っている場合もあります。その場合は、区別がつきにくいこともあります。

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