強迫症(強迫性障害)とは、一言でいうと、「強迫行為が止められない病気」になります。しかし、自分が強迫症かどうかというのは、意外と分かりづらいと思います。ここでは、自分が強迫症なのかを考えるポイントについてまとめてみます。
強迫症の症状
強迫症のタイプは4つに分かれます。実際には、無数にあるのですが、この4つに分けると分かりやすいのです。
洗浄強迫
もっとも多いタイプです。手洗いなどの洗浄行為が止められないというタイプです。単なるきれい好き・潔癖症と違うことは、洗浄行為を何度も繰り返すという点です。一度、綺麗にしてそれで終わればおそらく、そこまで日常生活の中でも支障をきたしていないのではないかと思います。
確認強迫
二番目に多いタイプです。確認が止められないタイプです。自分が加害をすることが怖いというタイプもありますが、自分が被害を受けることが怖いというタイプもあります。
整理整頓強迫
もの配置が左右対称でないと気がすまない、服の着こなしや書類の場所など「もや」っとするとやり直してしまうというのが整理整頓強迫です。過度に納得を追求しすぎてしまい、繰り返し行動が多いことが特徴です。自分の生活に関することが多いです。
縁起強迫
縁起強迫は、整理整頓強迫に非常に近いものです。縁起が悪いとやり直してしまいます。他にも、なにかもやっとすると同じ行動を繰り返してしまいます。
想像型強迫
このタイプは、ほとんど強迫行為をしないため、最も強迫症なのかどうか迷うと思います。頭の中で考え続けることが止められないのです。「自分は、同性愛者なのではないか」「自分は犯罪者なのではないか/知らない所で人に危害を加えたのではないか」「自分はパートナーのことが好きではないのではないか」「自分は、何かの病気にかかっているのではないか」といった想像が止められないというものです。
ためこみ症
このタイプは、強迫症ではなく「ためこみ症」と呼ばれる別の病気になりました。しかし、強迫症と一緒に持っていることが多い病気です。「ものが捨てられない」「ものを持っておきたい」という衝動に駆られる病気です。捨てられないものは、ガラクタなどのもの、動物、データの3種類があります。
どこからが異常なのか?
ここが、非常に重要な問題です。定義としては、「学校、家事、仕事において支障がでない」ということが第一の基準になります。例えば、『学校の準備をするのに何度も確認をしてしまい、朝起きれない』、『手洗いの回数が多すぎて、家事にとても時間がかかる』、『仕事で、同僚よりも時間がかかり、上司に怒られる』などは、強迫観念・強迫行為によって生活に支障が出ています。ここが一つの判断基準になります。
もう一つは、『強迫観念・強迫行為にとらわれている時間が1日に1時間以上ある』です。例えば、「鍵を閉めたっけなぁ」「床が汚いから嫌だなぁ」などの強迫観念にとらわれていたり、手洗いやお風呂の合計が1時間以上あるといった形で分かります。
1時間以下の場合は?
仕事もなんとかこなせていて、1日に悩んでいる時間が1時間以下という方も実際にいます。この場合、「診断閾値下」と呼ばれることがあります。このような状態で、他人からちょっとやりすぎじゃないの?と指摘される場合、非常に危うい状態と言えます。
診断閾値下の状態にある人でも、大きなストレスがかかると強迫症にまで発展する場合があります。そのため、診断閾値下の状態で認知行動療法を早めにやっておくというのはとても大切なことです。
妄想なのか分からない
この質問は非常に多いです。ちなみに、「自分自身で妄想ではないか?」と疑っている時点で、妄想ではありません。妄想とは、自分では妄想ではないと思っている状態だからです。
強迫症は強迫行為が止められない病気です。そのため、心配していることがあまりに突飛でも強迫症ではない理由にはなりません。嫌な考えの後に強迫行為をしているかどうかが重要なのです。以下は、内容が突飛ですが、強迫症の強迫観念です。
- 自分が異次元空間に行ったかもしれない
- 自分が誰かの顔とすり替わるかもしれない
- なにもないのに、なにかがある気がする
- 自分が触れたものに、あるはずのない何かが紛れ込んでしまった気がする
- 自分が特定の行動をすると、家族に不幸が訪れる
強迫行為が見当たらない…
強迫症の中で、頭の中で症状が起こるタイプは、ぐるぐる考える(反芻する)、答えを出そうとする、気を紛らわす、自分の頭の中で否定できないか考えるといったことが強迫行為になります。これらのいずれも、「やめたいのに、やめられない」という感覚になっているはずです。