皮膚むしり症 / 抜毛症の治療 2

醜形恐怖・抜毛・皮膚むしり症(強迫症)
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今回も、皮膚むしり症、抜毛症の治療について TLC Foundation for BFRBs のリーフレットから少し抜粋して紹介します。

原文:https://www.bfrb.org/storage/documents/Expert_Consensus_Treatment_Guidelines_2016w.pdf

Comprehensive Behavioral Treatment(ComB)

ComBは、Charles Mansuetoらによって開発された。この治療では、人が抜毛や皮膚むしりを行う理由があるときに、抜毛や皮膚むしりが起こると仮説を立てている。例えば、リラックスをしたり、眠ったり、何かを達成したいと思うなどのように、その行動をとる理由があると考える。この治療方法では、患者が抜毛や皮膚むしり行動をどのように行うか、どこで行うか、なぜ行うか、という点に注目する。そうすることで、患者が抜毛や皮膚むしり行動をとらずに目的を達成するためにどのような手助けがいるかを分析することができるからである。この治療法は4つの要素から成り立っている。アセスメント(査定)、感覚様式の特定、戦略を選ぶ、評価である。そして、5つの領域に焦点をあてる。感覚、認知、情動、運動、場所の5つである。

・アセスメント、セルフ・モニタリング

この治療法を通して、セラピストと患者は行動の機能を徹底的に分析する。この機能というのは、抜毛や皮膚むしり行動をひきおこす内的・外的な刺激と抜毛や皮膚むしり行動との関係である。内的な刺激としては、感覚、思考、感情である。一方、外的な刺激は、抜毛や皮膚むしり行動を引き起こす場所や活動である。患者は、カウンセリングとカウンセリングの間の時間において、抜毛や皮膚むしり行動の全ての側面を観察していく。

・自分にあった戦略を選ぶ

セラピストは、患者が自分にあった戦略を選ぶのを手助けする。特に、抜毛や皮膚むしり行動へ結びつく内的・外的刺激に対して戦略を考える。例えば、かゆみが引き金になり、ひっかき出したり、抜毛が起こる場合では、かゆみをけすために、代用品として目の粗いくしを使うように求められ、頭皮に指が触れないように求められる。肌のつるつるする感覚を味わいたいためにかさぶたを剥がしてしまう人には、そのような感覚を味わいたいと思った際には、つるつるの石を触ってもらうように求められるかもしれない。心配ごとを減らすために髪を抜いたり皮膚をむしったりする人には、心配を減らすための認知的な介入を教えるかもしれない。全ての介入は皮膚むしりや抜毛を行うそれぞれの目的にそって計画される。

・身体集中反復行動症(RFRBs)を引き起こす内的・外的引き金

RFRBのエピソードの引き金になる可能性がある内的引き金としては、感覚に関する経験(視る、触る、臭いをかぐ、味わう、音をきく)、思考、感情などがあげられる。介入は、これらの全ての領域において、患者がどのような泣いて内的引き金を求めているかを特定するために選択される。例えば、「全てのザラザラした髪の毛は抜かないといけない」という信念を持っているとしたら、介入としては、この信念に挑戦したり、この固い信念を変容させたりすることになる。

RFRBを引き起こす外的引き金をみつけるために、RFRBを引き起こす典型的な環境や活動を見つけていく。そして、RFRBを減らすためにこれらの環境や活動を変えていく。例えば、鏡の前で抜毛したり皮膚をむしったりする人は、鏡を見なくていいようにバスルームの電気や鏡を取り除いたり、カバーをかけて薄暗くしたりすることを勧められる。これらの行動がいつどこで起こりやすいかを知ることはとても役にたつ。これらの行動への気づきを高める方法はとても重要になる。というのも、抜毛や皮膚むしりは習慣的で自動的な方法で行われて、この行動に対する気付きがないからだ。グローブ、バンドエイド、医療用テープ、帽子などのバリアは、気づきを高めるためによい。なぜなら、その行動にとても意識的になり、最終的にはその行動を変えることになる。

ComBでは、RFRBの引き金を評価し、抜毛・皮膚むしりの行動を意識するという枠組みを用いる。このモデルでは、行動にたいする気づきを増やす道具立てを提案し、早めに色々な介入をする。それと同時に、抜毛・皮膚むしりを行うための行動連鎖を行う。この治療法は、限定的な経験的な評価しかない。そこで、研究が行われている。

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