国際トラウマティックストレス学会の複雑性PTSDに対する姿勢

PTSD トラウマ
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ICD-11により複雑性PTSDが確固たる診断基準として採用されました。しかし、その治療に関しては、まだまだ研究が不足しており、今後の研究が待たれます。

この記事では、この現状の中で、国際トラウマティックストレス学会(ISTSS)では、この件に対してどのようなコメントをしているのかご紹介します。

そもそも複雑性PTSDとは?

複雑性PTSDは臨床家の中では、複数回のトラウマという認識で広がっていました。しかし、実際に単回性のトラウマと複数回のトラウマでは何が違うのかについて明確な答えが出ていませんでした。

DSM-5の改定の際は、「複数回」という基準は見送られ、「解離型」と呼ばれる特定用語として複雑性PTSDを表現しようとしました。しかし、PTSDはどのような状態であれ、なにがしかの解離が関わっています。そのため、解離型という表現は、正確性をかく表現ではありました。

複雑性PTSDの定義は一旦棚上げにして、複雑性PTSDが単回生PTSDと違うと考えられているのは、感情調節困難(感情の波が激しい)、負の自己概念、対人関係の障害(安定した人間関係が築けない)です。単回性のPTSDはフラッシュバックが主ですが、複雑性PTSDはこれらが症状の中核になるので、これらの症状を低減させることが治療の目的となっていきます。

複雑性PTSDに有効な治療は?

ISTSSが現在のところは、認知行動療法(中身は不明)及びEMDRがこれらの複雑性PTSDの治療には有効であろうと言っています。

これらに追加できる可能性のものは、 認知療法、行動療法、マインドフルネス、精神分析、対人関係療法、薬物療法、薬理学などのようです。

参考

ISTSS – Position Paper on Complex PTSD in Adults (http://www.istss.org/getattachment/Treating-Trauma/New-ISTSS-Prevention-and-Treatment-Guidelines/ISTSS_PreventionTreatmentGuidelines_FNL-March-19-2019.pdf.aspx)

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