弁証法的行動療法とは、アメリカのマーシャ・リネハンによって生み出された、境界性パーソナリティ障害に対する包括的な認知行動療法のプログラムのことです。
このリネハン先生の治療に対する思いはとても素晴らしいものがあります。リネハン先生自信、自分がかつて境界性パーソナリティ障害であったことを告白しています。
弁証法というよりも、本来は統合的というニュアンスの方が近く、統合的行動療法とした方がよくプログラムを表していると思います。
最も、早くからマインドフルネスを用いている第三世代ではありますが、リネハン自身は、非常にオーソドックスな行動療法家でもあります。
そんな弁証法的行動療法の患者に対する前提は…
1.患者は最大限の努力をしている
2.患者はよりよく生きることを望んでいる
3.患者は変化のために、熱心になる必要がある。
4.患者は全ての場合において、新しい行動を学ばなければならない
5.セラピーにおいて、患者が失敗することはない
6.患者が自分自身の問題を引き起こしたわけではないが、とにかく、それらを解決しなければならない。
とかかれています。
とやかく、境界性パーソナリティ障害というと、医療の中では厄介者扱いされがちですが、1~2を固く信じて治療に望むことが大切であろうとリネハンはいいます。
この受容の一方で、3、4にみられるように変化への扉も開いています。
弁証法的行動療法の一つの哲学は、受容と変化のバランスをとるということです。
さらに、5のように失敗することはないという前提も大切です。治療に失敗はないのです。
そして、最後の6はとても大切です。病気になったのは、性格や生き方、意志の問題ではないとはっきり言い切る一方で、解決する必要があると伝えています。