強迫症(OCD)によく用いる治療法は曝露反応妨害法だ。最近の論文をみると、Ritual(儀式)に対する妨害と書いてある。日本語訳すると暴露儀式妨害法になる。
OCDは、DSM-5では不安障害から離れて、強迫症となった。そして、色々な研究者がOCDの感情は不安ではなくて嫌悪ではないか?と指摘している。確かに、実際に治療していると嫌悪に近い気がする。感覚的には、蚊に刺された後のような感じ、強迫行為をしないとなんか嫌だ、気が収まらないという感覚だと感じる。
Unified Protocol(不安とうつの統一プロトコル)では、強迫行為からヒントを得た感情駆動行動というものが存在する。これは、パニック障害やPTSD等の他の不安障害でも、刺激に直面した後に、その不安をかき消すために何らかの行動をとると分かってきたために生み出された概念だ。曝露反応妨害法と同じように、感情駆動行動もエクスポージャー中に制止することが必要とされる。
しかし、OCDにおける強迫行為は、他の不安障害にみられる感情駆動行動とは質が違うと考えられる。難治性の社交不安障害(SAD)には、安全確保行動という概念がかつてはあった。これは、逆に臨床上はOCDに近いようにも感じる。OCDをやっている目でSADをみるとOCDの症状と非常に酷似しているように見える。
実際に、OCDの治療モデルを他の不安障害にも援用する治療者も多い。エクスポージャーだけで良くなるような感覚を持つケースは、感情駆動行動にそんなに注意を払わなくてもエクスポージャーだけで良くなると思える。実際、感情駆動行動に綿密な心理教育をしなくても改善する。PTSDに対するPE療法には、感情駆動行動に対する心理教育はないし、むしろ呼吸法のような拮抗するものを練習してもらうようにしている。このようなことはプロトコル上でも分かる。