強迫症が治らない6の誤解

強迫症(強迫性障害)
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暴露反応妨害法ができないから治らないと思っている

この問題がとても大きいのではないかと思います。暴露反応妨害法の方法はかなり有名ですし、カウンセリングを申し込む方のほとんどの方が暴露反応妨害法という単語や、『強迫行為を我慢しないと治らない』『嫌なものに触らないと治らない』と思っています。

たしかにそれは、正しい部分はありますが、大事な部分の知識が抜けているのです。まず、前提として暴露反応妨害法は人体に影響がない、リスクがほとんどないと思われるようなことにしかしません。例えば、『ノロウィルスに感染した人がしていたマスクを自分がつけて生活する。』これは、暴露反応妨害法になるでしょうか? 答えはNOです。

なぜなら、実際の脅威(リスク)があるからです。強迫症の人が感じている不安は、実際のリスクが非常に低いことなのです。

 

強迫行為を我慢することができないから治らないと思っている

これも非常に多い誤解です。しかし、実際は強迫行為を我慢することよりも暴露をした方がずっと治ります。例え、強迫行為をし続けていても、暴露を何度も繰り返し行えば、症状は良くなっていきます。

確かに、かつては強迫行為に全く止めずに暴露をしており、強迫症には暴露療法は効果がないと言われていました。しかし、強迫行為はしていても暴露をたくさんすれば良くなるが本当です。

 

強迫症になって長いから治らないと思っている。

これもよくあります。強迫症の研究では罹患期間(病気になった期間)は、治療の予後には関係ありません。実際に、強迫症に何十年も悩んできた人でもしっかりと暴露をすることで良くなっていきます。

これはなぜかというと、強迫症は行動の病気だからです。行動の習慣は悪化して、日常生活はかなり大変になりますが、強迫症になった期間と認知行動療法に対する反応性は関係ありません。

むしろ関係あるのは、症状が小さい頃からあること、自分の症状に対して違和感があるかどうかの方が関係しています。

 

自分に暴露は向かないと思っている。

確かに、暴露反応妨害は、100%効く治療法ではありません。しかし、暴露が全く無効である患者さんもそうそういません。また、次に述べるように、暴露反応妨害だけが認知行動療法ではありません。

 

暴露反応妨害法だけが認知行動療法だと思っている。

暴露反応妨害は認知行動療法の一つの方法です。暴露反応妨害以外の方法もいくつかあります。特に暴露反応妨害を取り巻く理論的背景は随分と変わってきています。

そのため、暴露反応妨害法以外の認知行動療法の方法もあります。特に制止学習による暴露は暴露の効果を最大にします。

 

暴露が嫌なことを我慢する行為だと思っている

暴露とは、自分の予想する結果が起きないもしくは、実際の危険率がずっと低い、実際に危険なことが起こってもその影響がずっと小さいということを学ぶ方法です。

不安が低減するよりも、自分の予想が外れたほうが暴露の効果はあります。暴露とは自分の不安が当たらないということを体験する方法です。

予想が当たったか外れたかが確定した後であれば、強迫行為をしたとしても暴露の効果はあります。さらに、予想が外れたら、その時点で強迫行為を行いたい衝動はかなり軽減します。

 

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