暴露を伴わない強迫症の治療

強迫症(強迫性障害)
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強迫症の治療をしていて、繰り返し思うことは、暴露のハードルの高さです。特に引きこもりの状態にある場合は、まず暴露が難しい場合が多いのです。また、今の時代、どこにいてもインターネットで情報を得ることができます。そうなると、強迫症の当事者も「暴露」という言葉を知っていることがほとんどです。そうするととても暴露のハードルが高まります。今回は曝露以外の治療、特に情報収集による治療について考えていきます。

強迫症の症状:「疑惑」

強迫症の症状の一つは、「疑惑」です。例えば、「本当に、鍵を閉めたのだろうか?」「自分は、本当は犯罪者なんだろうか?」「自分は、性同一性障害なんだろうか?」などのように強迫観念は、疑惑に満ちています。

そして、疑惑が解消されず、答えが永遠にはっきりしない状態が苦しくて、強迫行為をしてしまいます。

曝露を通した治療では、この疑惑に馴れるという方法を行いますが、疑惑が解消するという方向性でよくなることもあります。

典型的な例は、「性同一性障害」に関する強迫観念です。性同一性障害に関する強迫観念の場合、「自分は性同一性障害なのではないか?」という強迫観念に悩みます。

そこで、性同一性障害の人の手記やブログを読んでもらうという方法を取ります。そうして、自分の体験や経験との違いについて考えてもらいます。実際に、性同一性障害の人と交流することも良いでしょう。

そうすると、自分と本当の性同一性障害の人との違いが浮き彫りになり、「自分は性同一性障害ではない」という確信が生まれます。違う表現をすると、「疑惑」が晴れるのです。

このようにして、強迫観念が和らぐ人が一定数います。

このようなパターンは他にも病気に対する恐怖、加害に対する恐怖などいくつかのパターンに応用できます。

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