「理由は説明できないけれど汚い」に対処する

強迫症(強迫性障害)
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強迫症には考え方の癖が大なり小なりあります。しかし、洗浄強迫に関しては、「気持ち悪い」という感覚のみで、「考え方の癖」があまりないという場合があります

「気持ち悪い(嫌悪)」には、本来、あまり理由がありません。そして、この部分は曝露だけでは、改善しづらい部分です。

嫌悪感の性質

「気持ち悪い」の根底には、好き・嫌いという感情があります。そして、この好き・嫌いは、後から作られる感情です。とても良い例が、「ゴキブリ」です。ゴキブリは、日本では多くの地域では、嫌悪の対象ですが、ゴキブリが生息しない北海道では、そこまで嫌悪の対象にならないのです。

月曜から夜ふかしで、このことを実証しているので、興味があれば見てみてください。

この動画を見ても分かる通り、「嫌悪感」というのは、作られる感情であり、もともとのその物体の性質に基づいているものではなく、後から付け足された情報だということが分かります。

また、「嫌悪感」というのは、非論理的なもので、好き・嫌いというシンプルな感情だと分かる例があります。滅菌消毒されたゴキブリの死骸をコップに入れ、そのコップの水を汚いと思うか?という実験があります。この例で、すぐに想像できる通り、たとえ滅菌消毒されていても、嫌いなものは、「汚い」と認識されてしまうのです。

嫌悪のルーツ

嫌悪は、動物が感染症から生き延びるために非常に役立つ感情であったと考えられています。嫌悪感があるものを避けることで、病気のリスクを避け、食中毒を避けることができます。

リスクを回避するためには、本当に危険なのかどうかを、考える前に判断して行動することが必要になってきます。そのため、嫌悪感に直面すると、「汚い」に結びつきやすく、洗浄強迫にも結びつきやすいと考えられています。

嫌悪感を克服する方法

さて、これをどうやって克服していくかですが、「納豆嫌い」「チーズ嫌い」をどう克服していくか?ということとよく似ています。

この動画が非常に良いのは、納豆という嫌いなものに食べられる食材を混ぜて少しづつ馴れていこうとしている点です。「嫌悪」に対する治療も、ただ嫌なものに触れるだけではなく、ポジティブなものも一緒に混ぜていくという方法が効果的です。

Dour et al (2016)では、クモ恐怖による曝露の実験を行い、嫌悪感を改善させることが、曝露の効果を高めることを検証しました。患者を2群にわけ、ある群は単にクモを見せ、もう一つの群には紳士的なクモが世界を守るという話の動画を見せ曝露をします。そうすると、紳士的なクモの動画をみた群のほうが曝露の効果が高いということが分かったのです。

この研究では、紳士的なクモの動画は曝露と別の手続きによって行われています。つまり、このポジティブなイメージを増やしていくという作業は曝露と一緒にしなくてもよい作業になります。

特に、「自分が嫌いなものを好きと言っている人の意見にたくさん触れること」「好きなもののなかに少しづつ嫌いなものを取り入れること」がポイントになってきます。

嫌悪感を克服するアイデア

ここでは、洗浄強迫の方にオススメするポジティブな情報のアイデアを少し紹介します。

地面・床に対する嫌悪感

地面を裸足で歩く、「アーシング」という考え方があります。時々、こうやって裸足で町や公園をあるくととても心地よい体験になります。大地と繋がっているという感覚によって心も安定します。歩く瞑想もあるように、「歩く」行為を大切にすると色々なものが見えてきます。

音楽が好きであれば、裸足で歌うアーティストも意外と多いのです。

https://matome.naver.jp/odai/2135728379082727801

そして、曝露をするときも、ちょっと楽しい雰囲気でやってみたほうがよいです。音楽を聞きながらでもよいと思います。

便に対する嫌悪感

便というのは、体からの便りと言われるように、自分の便を観察することは健康管理上非常に大切な行為になります。それを推し進めているのが「うんこ学会」です。

日本うんこ学会
うんこで救える命がある・・・かも。大腸がんをはじめ、消化器疾患の啓発をエンターテイメント性を持って発信することを活動の中心としています。スマホアプリ「うんコレ」開発中。…

動物の中には、自分の糞を食べるという習慣を持っている動物がいます。

なぜ動物はうんちを食べるのか
フンコロガシやウサギ、チンパンジーなど糞を食べる動物がいる。何のためにそんな行動をとるのだろうか。

人間の便も自然の循環の一部になります。

ウンコを土に還さない現代生活は、想像以上にヤバかった - イーアイデム「ジモコロ」
山梨県北杜市在住のパーマカルチャーデザイナー・四井真治さんに「循環生活」について聞いてみました。「土とつながる知恵」(地球のくらしの絵本)などの著書がある四井さんは、家畜の糞だけでなく、人間のうんちやおしっこも堆肥にして再利用。自作コンポストやバイオジオフィルター、ビオトープ、太陽熱温水器を利用し、パーマカルチャーを実...

「うんこ」を哲学的に考えると非常に色々なものが見えてきます。

うんちに関する子供の歌も教育的な観点から色々あります。

トイレに関する嫌悪感

古い建物、古いトイレに愛着をもって生活している方もいます。

築105年、日本最古の学生自治寮「吉田寮」を大掃除してみた_PR
吉田寮は、京都大学の施設内にあり女子も住む日本最古の学生自治寮。築105年の老朽化対策に伴う建て替えの件などで寮の自治会と大学が対立していることでも有名。ライターのヨッピーが吉田寮に住む学生さんと大掃除し、そこで見つけたモノや文化について紹介。

トイレも、芸術的には非常に興味深いテーマ性を持っています。

動画総再生回数 1200万回超!話題のamazarashiの新作MVが、ついに解禁。最新作は、女子高生がトイレで悶える...?新曲「スピードと摩擦」のミュージックビデオを本日より公開
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントのプレスリリース(2015年8月5日 11時00分)動画総再生回数 1200万回超!話題のamazarashiの新作MVが、ついに解禁。最新作は、女子高生がトイレで悶える...?新曲「スピードと摩擦」のミュージックビデオを本日より公開

トイレを突き詰めてみると非常に面白い視点もあります。

日本のトイレは排泄するだけの場所じゃない!
──日本全国のトイレを取材している“トイレハンター”のマリトモさんは、これまで何カ所のトイレをご覧になりましたか。マリトモ:10年間で300カ所は超えています。きちんとアポイントが取れて取材できたのは100…

参考文献

  • Dour HJ, Brown LA, Craske MG. 2015 Positive valence reduces susceptibility to return of fear and enhances approach behavior. J Behav Ther Exp Psychiatry. Mar;50:277-82.
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