応用行動分析学では、行動の意味を考えずに、行動の機能を考えていきます。
行動の意味を考えると、意味に捕らわれてしまい、何も見えなくなるのです。
行動の機能を考えると、どう対応していいかわかってきます。
例えば、子どもが高くて危険な場所に登って「ママー見てみて」と言ったとしましょう。
行動の意味を考えると、「いたずらっこな性格だ」とか「親が子どもを十分に甘やかさなかったからこういう行動が起こるんだ」などのように見えてしまいます。
しかし、応用行動分析学では、「この行動の機能は注意を引きたいのだ」と分析します。そうすると、注目を与えないようにすることで、この行動は減るかもしれないと考えます。
応用行動分析では、この行動を
例) 母親が子どもにかまわないで、子どもが退屈 → 「ママー見てみて」と危ない行動をする → 注目を得られる (正の強化)
のように分析します。
正の強化をなくすためには、好子を遮断する方法が一般的です。
(実は、もっと高度な方法があります。)
このように機能分析を行うと、様々なものが見えてきます。そして、この行動の機能は4つに分けられることが知られています。
1.「もの・活動の要求」
この場合は、何かを要求し、その結果として、要求したものが手に入ることによって強化を受けます。例えば、「お金が欲しい」と言う、自販機にジュースを入れるなどです。
2. 「注目の要求」
これは、子どもに多い機能です。何か注目をもらうことで強化される場合はこれです。インターネット等で、悪質な動画の投稿やtwitterなどでの問題発言等をしてしまうのは、この注目を集めるという機能によって維持されていると考えられます。
3. 「逃避・回避」
逃避は、嫌悪状況に置かれると、その嫌悪状況から逃げ出そうとする場合です。回避は、嫌悪状況を事前に察知して、事前に状況を回避することで強化されます。
例えば、授業が嫌な子が、よくトイレに行く・保健室に行くというのもこれです。
また、強迫性障害・不安障害・うつ病でもよく起こる機能です。
強迫行為は逃避としての機能を持っていますし、回避は手袋をつける等を指します。
4. 「自己刺激(感覚)」
これは、自閉症児で多いものです。自分の手を噛んだりする場合です。薬物やアルコール等のこの機能を持っていると言えます。
他の場合は、好子が目に見えるのに対して、この場合はよく目に見えない場合があります。
臨床をやっていると、上記のどれにも当てはまらないようなものも実はありますが、基本的にはこの4つで行動の機能を分析すると役に立ちます。