Q.強迫性障害と潔癖は違うのですか?
A.強迫性障害は、強迫行為を止められない病気なのです。そして、この強迫行為は強迫観念等を始めとした不安・嫌悪を取り除こうとするために行われます。
潔癖症は、必ずしもこのような強迫行為を伴わなくても潔癖症の状態になります。
Q.強迫観念に抵抗する(がまんする)ことで、強迫性障害は治療できるのでしょうか?
A.確かに、完全に我慢できれば、強迫性障害は治療できると思います。ただ、強迫性障害の方の多くはこの方法をとりますが、失敗します。積極的なエクスポージャーを行わないほうが、嫌悪感は持続します。
参考:暴露しているはずなのによくならない理由:消極的な暴露と積極的な暴露
Q.強迫観念を頭の中で打ち消せば、強迫性障害は良くなりますか?
A.これも、よくある質問です。例えば、『外から帰ってきた時についていた菌は、主に服についていて、その服を洗濯したから、菌はついていない…だから、今の自分はきれいなはずだ』などのように、今の自分を綺麗であると保証するような根拠を探したり、別のことに集中しようとして、頭のなかから追い出すように気を紛らわすような行動をするなどは、全て目に見えませんが強迫行為になります。
Q.強迫性障害にきっかけはありますか?トラウマは関係していますか?
A.気になり始めるきっかけになった出来事がある方が一定数はいます。そういう方は、そのきっかけになったトラウマを治療すればよくなるのではないか?と思うと思います。私の経験的には、よくなりません。
一度、強迫性障害を発展すれば、恐怖の対象、汚染の対象は広がっていきます。最初の対象以外にも波及していきます。これらの悪循環を断ち切るためにはトラウマの治療よりも、行動習慣の治療をする必要があると思っています。
Q.回避する対応がなぜいけないのか?
A.例えば、家の中の聖域と呼ばれる場所のみで生活をしている方や、何かを触る場合に手袋をつけて触るという方は、回避が強いと言えます。
回避を行えば、トリガー(嫌悪状況)に触れないため、強迫行為を行わなくてすみます。一方で、自分の行動範囲は狭まってしまうのです。また、その行動範囲はふとしたきっかけで狭まってしまいます。
参考:強迫性障害の世界:聖域を作って身を守ることが上手くいかない理由
Q.何回まで確認していいですか?
A.基本的には1回も確認しないようにすることが必要です。実は、1回の確認行為でも、強迫行為になります。強迫性障害は強迫行為を行うと症状が維持され、悪化する可能性もありますので、1回もしない方が良いです。ただし、仕事上不都合がある場合は、その職場のルールに従います。
Q.認知行動療法をして悪くならないのですか?
A.初めてのエクスポージャー(暴露儀式妨害法)をする際にはこのような疑問がわきます。悪化するとは、強迫行為が酷くなる、強迫観念が酷くなるという意味だと思います。私が、今まで認知行動療法を行なった方で、エクスポージャーをしたことで症状が悪化した方はいません。