強迫性緩慢とは、日常生活の動作を納得がいくまで繰り返すために、非常に時間がかかるタイプの強迫性障害 (強迫症)だ。このタイプの強迫症は、明確な強迫観念がないこともよくある。緩慢とあるが、実際の動作は常に遅いわけではない。このタイプの強迫症は、難治性の強迫症として知られており、いわゆるERPがあまり適さないことでも知られている。この強迫性緩慢は、トゥレット症候群との関連が指摘されている。
今まで、強迫性緩慢には、治療法がなかったが、Slow Mindful Repetition (SMR) と呼ばれる技法が開発されている。これは、日常の活動をゆっくりと止まらずにさせることで、「なんかしっくりこない」という嫌悪感に対して、継続的に暴露していく方法である。その他にも、行動を作っていくシェイピングや、特定の行為のみの反復を防ぐためにペーシングと呼ばれる技法を併用する。
純粋強迫観念は、強迫行為を伴わない、強迫観念のみが出現する強迫症だ。例えば、「爆発」「死」というイメージや言葉が浮かんで、それが離れないという強迫症だ。しかし、多くの場合、心のなかでこれらを打ち消すような行為(目には見えない)を行っていたり、それについて考えないようにしようという気ぞらし(頭の中で行っているものも含む)をおこなっている場合がある。
これらの強迫行為は、目には見えないが強迫観念を出現しやすくしてしまう。この純粋強迫観念タイプの強迫症に対しては、イメージが言葉が浮かんでも、それを流せるようにするマインドフルネスを併用したERPを使っていく必要がある。