認知行動療法を独学でやる際に間違いやすい点 (強迫性障害の場合)

強迫症(強迫性障害)
Pocket

最近は、自力で認知行動療法をやっている方が、相談されることが多くなってきました。その中で、よくありがちな間違いについて考えていきます。

不安階層表を作成していない

これは、間違いとは、言えません。実際に、私もあまり作成しないことが多いです。しかし、初心者であれば、作成した方が良いでしょう。

理由としては、多くの方は、強迫行為にばかりとらわれてしまい、不安の種類に注意を払っておらず、症状を整理できていないためです。例えば、同じ確認でも、強迫観念は無数にあり、なおかつ、強迫行為を行うことで阻止したい将来の災難(core fear)は、違っている場合があります。このあたりをしっかりと整理できていないと、きちんとした曝露反応妨害法が行えないのです。

参考:強迫性障害の治療:なぜ、不安階層表を作るのか?

参考:確認強迫

認知行動療法の理屈そのものに誤解がある状態

これが最も多いような気がします。曝露反応妨害法は、手洗い・確認を我慢するという方法ではないのです。

参考:暴露しているはずなのによくならない理由:消極的な暴露と積極的な暴露

強迫観念を消そうとしている

これも非常に多いような気がしています。洗浄強迫、確認強迫でも、このような方がおられます。これは、強迫性障害との病理とも関連してくる点です。

そもそも、曝露反応妨害法が向かない状態

強迫性障害、強迫行為があるからといって、曝露反応妨害法を全てすればよいというわけではありません。強迫性障害の種類によっても、治療方法を変えていく必要があります。

参考:強迫症(強迫性障害)の強迫観念と強迫行為の分類とタイプ:タイプによる治療戦略

また、併存疾患がある場合は、それらを考慮して治療を考えていく必要があります。特に、発達障害、統合失調症、うつ病、双極性障害、PTSDなどの他の不安障害を持っている方は、治療を組み立てる際に慎重に考えていく必要があります。

Core Fear が上手く掴めていない状態(何が最も不安なのか上手く掴めていない状態)

曝露反応妨害法をする上では、十分な不安の強度が必要になります。十分な不安の強度がなければ、曝露反応妨害法を行っても、SUDが上手くさがらず、暴露をしているのに良くならないという状態が続いていきます。

Pocket

タイトルとURLをコピーしました