「傷つきやすい」をどう治療するか?

PTSD トラウマ
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解離症、トラウマ・PTSDの方は、人間関係に傷つきやすいという症状があります。加害者というのは、「人」であることが多く、その人が怖くなるからです。

 

解離があると何が起こるのか

トラウマの根底には「解離」という現象があります。解離の一つの側面として、『もともとの刺激にほとんど似ていないものにも恐怖感を感じるようになる』というものがあります。

例えば、犯罪被害にあった方は、「男性」という刺激が怖くなるかもしれません。世の中には、怖い男性、怖くない男性がいるはずですが、男性全てが怖くなるのです。このように、解離は、様々なものが怖くなるという側面があります。

 解離のもう一つの側面は、『なぜ、怖いのかが分からない』という現象がおきます。よくあるのが、「台所」などの家の中で人が集まる場所にいると「なぜか気分が滅入る」、「怖い」などのことを訴える解離症の方はとても多いのです。

これは、何かを思い出しているはずなのですが、何を思い出しているのかが分からないために、「怖い」という感覚のみがやってくるのです。

この「なぜか怖い」という現象は、治療していくとなぜ怖いのかが分かってきます。台所は、よく家庭内のいざこざが起こる場所なのです。治療をしているうちに、台所で何が行われていたか、どうして台所が怖いのか、なにが怖かったのかが分かってきます。そして、「怖い理由」がわかれば、少しづつ恐怖に振り回されなくなっていきます。実態がない恐怖というのは、とても怖いものです。

 

トラウマによって「自分」が見えなくなってしまう

トラウマの衝撃は、とても大きなものです。その影響により、「自分」が見えなくなってしまいます。自分の感情、意見、自分に向けられた感情などに非常に鈍くなってしまいます。

そのため、自分の責任と相手の責任の境界が見えなくなってしまいます。例えば、「遊びに行こう」と友人にいう行動を選択することは、自分の責任ですが、この提案を受けるかどうかは相手の責任です。たとえ、友人が『あなたの誘いを断ると悪いから…』と言って、遊びに行く提案を受けたとしても、その行動の責任は友人にあります。

この、これは自分の責任、これは相手の責任と区別する境界が壊れてしまい、全てが自分の責任に見えてしまうのがトラウマの影響です。何をしても、自分が悪いような感覚がでてきます。

さらに、自分の意見というものが間違っているような感覚も生まれてきます。人に頼み事をする、気持ちを伝えるという場面で、『自分の気持は人に迷惑をかけるだけだし…』、『自分の意見は間違っているから、言ってもしかたがない』という考えに飲み込まれてしまいます。

 

人が怖いとき何が起こっているか?

解離症の人は、「人が漠然と怖い」と訴えることが多いのです。これは、いわゆる社交不安症とは全く違います。社交不安症とは、「人に挙動不審だと思われているんじゃないか?」「汗っかきだと思われているんじゃないか?」などのように考えて、人前で緊張してくる病気です。解離症の対人関係の怖さは、社交不安症と違い、漠然としています。怖い理由がなんとも言えないのです。

この症状は、どの人も自分に攻撃してくる人のように見えてしまうこと、少しでも攻撃されてしまうと自分が非常にダメージを受けてしまうことから来ています。

トラウマ・解離症を持つ方は、たとえ信頼できる恋人であっても、ときに距離が必要になることがあります。一緒の空間にいるだけで、なにか影響を受けてしまい、自分が苦しくなるという感覚がある人が多いのです。そのため、『誰もいない空間』が落ち着ける唯一の場所であることも少なくありません。

 

「傷つき」を癒やす

まずは、傷ついた自分に対して、「苦しかったね」と声をかけることが大切です。これは、過去のトラウマ場面でもそうですし、今現在の目の前で起こっていることに対してもそうです。

過去のトラウマがあるから、今現在のことが怖くなるからです。過去にトラウマがある人の怖さと、トラウマがないひとの怖さは全然違います。「私が、いまこの程度のことで怖くなるのはおかしい」と思っているととても苦しくなってきます。「昔のことが今と重なっているから、いま、この怖さがでてきているんだよね」と自分自身に声をかけてみてください。

この部分では、トラウマの治療もとても大事になってきます。トラウマが残っていると、自分自身に「苦しかったね」と声をかけることができません。「苦しかったね」とかけようとすると、トラウマが「苦しいのは自分自身に問題があるからで、そんな優しい言葉をかけてはダメだ」と言ってきます。

 

「自分を守る」バリアを作る

自分を守るバリアを意図的に作ることで、「傷つきやすさ」に対する力を身に着けていきましょう。バリアは、自分でイメージするもので、どんな形でも構いません。色がついているものでも、透明なものでも、家でも白でも構いません。

そして、そのバリアから外を眺め、外にいる怖い存在が色あせていったり、小さくなったりする様子をイメージしてみましょう。最初は、セラピストと一緒にこのイメージを作っていくとよりうまくいきます。

また、バリアの内側には優しい空気を満たしていきましょう。その空気を吸い込んでいくととてもリラックスして、満たされていくはずです。

更に、バリアの内側には自分を守ってくれる存在を置きましょう。人でもいいし、ものでもいいし、場所でも良いです。

人前にでるときは、このバリアを身にまとって生活するか、瞬時にこのバリアを出せるように練習しておくのです。これは、自愛の瞑想、安全な場所、自我強化法と言われるような治療の方法を組み合わせた方法です。

 

 

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