マインドフルネスとは、「自分の現在の感情・思考に気がつき、ありのままに受けとめ、現実に注意を向けている状態をいいます。
なぜ不快な感情にとらわれてしまうのか?
怒り・落ち込み・不安などが長いあいだ続き、不快な感情にとらわれてしまった経験は誰にでもあるでしょう。不快な感情にとらわれ続けるとストレスはどんどんたまっていきます。そんなとき、私たちには次のようなことが起こっているのです。
- 不快な感情にとらわれ始めたことに気がついていない
歩きなれた道を歩いている時や、やりなれた家事・仕事をしている最中に、嫌なできごとを思い出して落ち込む経験は誰にでもあると思います。しかし、「嫌なできごとについて考えだした瞬間」には、なかなか気がつかないものです。嫌なできごとにとらわれだしたことに気がつかなければ、そこから抜け出すことは難しくなってしまいます。
- 感情を発散しようとして、余計に感情にとらわれてしまう
不快な感情を感じると、それを発散させようと様々な行動をとります。例えば八つ当たりや、「どうしよう…」と考えこむことも、感情を発散させようとする行動です。しかし、これらの行動では感情は消えないのです。それどころか余計に強まってしまい、不快な感情が残っていることに敏感になってしまいます。
マインドフルネスを実践するとどうなるのか?
マインドフルネスでは、「不快な感情にとらわれ始めたことに気がつき」「感情を発散しようとせずに、受け止めていく」を行っていきます。そうすることで、自分自身が本当にやりたい目的に集中できるようにします。
マインドフルネスな状態とは、何をすることなのか?
マインドフルネスでは、以下の3つを順番に行っていきます。
1.気がつく
- 今、この瞬間に起こっている自分の経験について集中し、敏感になります。
- 何事も避けず、何事にも固着してはいけません。
2.描写する
- 体験を言葉に置きかえましょう。何が起こっているかを自分に説明します。
- 自分の考え、感情がどんなもので、どれくらいの強さかを描写します。
3.今に集中する
- 今、この瞬間に経験していることに全ての注意を集中させます。
マインドフルネスな状態では、何に気をつけるのか?
マインドフルネスな状態を生み出すためには、次のことに注意をしておきます。
- 評価しない
- 自分の思考・感情に対して、「よい・悪い」「すべき・すべきではない」などの評価をせずに、あるがままの状態を受けいれます。
- 一つのことに集中する
- 複数の考え・感情が出てきても一つの考え、一つの感情に注意を向けます
- 反応しない
- 自分の感情を紛らわすための行動をやめて、観察のみに徹する
- おだやかに観察する
- 自分自身の感情・思考に穏やかな興味を持って観察する
- 効果的なものに焦点を当てる
- 道徳、思いやりをもった行動に焦点をあてる
マインドフルネスの練習方法
マインドフルネスには、様々な練習方法があります。大きく分けると、注意がそれたことに気がつく練習、自分の心の状態を観察する練習があります。注意がそれたことに気がつく練習としては以下のものが代表的です。
- 呼吸による気づき
自分が呼吸していることに集中します。息が出入りしている様子を観察し続けます。途中で、注意がそれた場合は、呼吸に注意を向けなおします。
- 歩行瞑想
歩行瞑想とは、歩きながら行う瞑想のことです。歩行瞑想では、「歩行」に集中します。足の裏が地面を離れ、再び地面につくまでの足の感覚に集中をします。しばらく歩いていると、足から注意がそれると思います。その時に、また足に注意を向けなおすのです。
- 音を用いた瞑想
音は音楽、生活音のどちらでもよいです。耳から聞こえてくるものにたえず集中します。これも音から注意がそれるたびに、聞こえてくる音に注意を向け直します。
これらの瞑想を通して、自分の状態にいち早く気がつくことが増えてきます。その後、自分の心の状態を観察する瞑想を行います。この瞑想を行っている時は、注意がそれたら、それた先をくまなく調べる(観察する)ことを行っていきます。
- 呼吸による気づき
今度は、注意がそれたら、それた先がどうなっているか?を観察していきます。その時に、「マインドフルネスの何に気をつけるか?」に留意して下さい。感情の流れにとらわれないように観察をしていきます。
- ボディスキャン
自分の感情への気づきは、体の変化を通して知るほうが簡単と言われています。そのため、自分の体を右手、左手、右足、左足、お腹、胸、頭…とスキャンをしていき、自分の体の様子を観察していきます。
これらのトレーニングを行っていくと、日常生活の中で自分の感情に気がつくことが早くできるようになります。そして、自分の感情に巻き込まれることなく、自分の人生の目的に集中できるようになっていきます。