特定の行動を繰り返してしまう「縁起強迫(繰り返し強迫)」

強迫症(強迫性障害)
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縁起強迫とは、縁起が悪いと感じてしまうものを打ち消したり、避けようとする強迫症のタイプです。典型的な症状は、「4」、「9」という数字に関連するものを避け、「4」、「9」という数字をみたりすると、7回触ったり偶数回触りななおすなどの症状です。他にも、「不吉な言葉」が頭に浮かんだら、心のなかでお祈りをして、不吉な言葉を打ち消してから、行動をとるなどの例があります。

しかし、縁起強迫は、他人から見て縁起的な強迫観念・強迫行為だけではありません。例えば、部屋に右足から入らなければいけない(左足から入った場合や、どちらから入ったか分からない場合はやり直しをする)、右手と左手で同じ回数だけものに触れないといけない(そうでない場合は、反対の手で同じ回数触れる)、◯◯に行く場合は、このルートを通らなければならないなど、他人からみると縁起がよいとか悪いとは思えないようなものも多くあります。そのため、縁起強迫は、「繰り返し強迫」とも呼ばれます。

繰り返し強迫は、先ほどの例にあるように、「マイルール」が多く、その「マイルール」を壊さないように生活しています。そして、マイルールから外れると、マイルールにのっとった行動をやり直そうとします。

 

一見奇妙な行動でも本人なりに意味がある

『汚いから手を洗う』『鍵をかけたかどうか気になって確認する』などは、強迫症を持っていない人にもその不安を理解してもらいやすい強迫症といえます。一方、確認強迫、縁起強迫などでは、不思議な強迫行為を持つことが少なくありません。

例えば、『さっきまでの会話を振り返って、おかしなところがなかったかを確認する』、『自分の午前中の行動を振り返って確認する』、『嫌なイメージが出てきたら、頭の中でポジティブなイメージを思い出して打ち消す』などの強迫行為はひどくなると、一見固まってしまったように見えることもあります。しかし、動きをとめて頭のなかでずっと考えているのです。

他にも、『部屋を出る時は、必ず、右足で床を3回、とんとんと叩く』、『自分の納得がいく道順で歩きなおす』、『何かをする時に特定の動作を行ってから行動する』などの行動も一見すると奇妙な行動のように見えますが、自分なりのルールにもとづいて行っているのです。

強迫症が長くなると、このような強迫行為を無意識に行いやすくなるために、自分でもどんなルールがあるのか分からなくなってしまうことがあります。特に、頭のなかで行う強迫行為が多いと、何が行われているのかわかりにくいことが多いのです。

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